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2019世界はこうなる(原題 『The World in 2019』)

2019世界はこうなる(原題 『The World in 2019』)

英エコノミストが発行した『The World in 2019』では、巻頭で編集者のダニエル・フランクリン氏が、本誌が注目した2019年の12のテーマについて紹介しています。

ダニエル・フランクリン氏は、『Megatech:2050年の技術』の著者であり、その著書は東京の英国大使館でにおいて弊社が共催したセミナー&レセプションで紹介されました。

2019年に入って世界は揺らいでいる。ブラジルからイタリアまで、ポピュリストがより台頭し、グローバル経済は一年前より更に不安定になり、市場は神経質に動き、米中の貿易戦争が進行し、テクノロジー(および巨大テクノロジー企業)に対しては懸念が増大し、そしてルールを基本とした国際秩序は脅威にさらされている。こうしたことから、今は予測を行うには難しいタイミングといえるが、一方で興味深いタイミングともいえる。エコノミスト誌のジャーナリストとゲスト寄稿者が新しい年において何を予測するのか?以下に12のテーマをまとめた。

1.  経済の風は変化している。年半ばまでに、アメリカは過去最長の景気拡大を達成するとみられるが、年末までにリセッションに突入する可能性もある。中国の成長率はスローダウンする一方で、インドの成長はスピードアップする。内戦後のシリアは世界の成長国レースのトップとなり、その反対にあるのは、混迷に陥っているベネズエラとイランである。欧州では、イタリアが金融危機を軽視してしまう。

2. 市場は収束。とはいっても、どの方向へ?アメリカの株式市場が反落するのか、あるいは世界の他の市場が上昇するのか?賢明な賭けは後者であろう。けれども、アメリカのボスたちは可能な間に人生を楽しむべきである。米国株式会社の良き時代は長くは続かない。

3. 民主主義にとって重要な年。合計で世界人口の1/3以上を抱える国々-世界最大の民主主義国であるインド、そしてインドネシア、ナイジェリアなど-において選挙が予定されている。楽観主義者は、これが自由衰退に向かう最近の世界の流れが逆転するきっかけとなることを期待している。

4. ブレグジットは起こる。そして英国がEUから離脱すると、非難合戦が激化する。その間にもEUは、新たな委員会、新たな議会、そして新たな欧州中央銀行頭取を迎える。

5. 中国は9の数字に神経質になる。最後の桁が9の年には、中国のリーダーたちを不安にさせる厄介な記念日が来る。2019年は、かの有名な抗議運動である五四運動後100年、また天安門広場の学生率いる民主化運動の武力鎮圧後30年にあたる。

6. 有名な人物がスポットライトに返り咲く。彼らは、記念日が来ることによって再び脚光を浴びる。例えばマハトマ・ガンジーの生誕150年、エルナン・コルテスによるメキシコ到着から500年、そしてレオナルド・ダヴィンチ死後500年など(本誌表紙は彼の描画から着想を得ている)。

7. 新たなムーンラッシュが始まる。ニール・アームストロングが人類にとって偉大な飛躍となる一歩を踏んでから50年が過ぎ、宇宙船(民間も含む)は再び月に向かっている。一方で、NASAの無人探査機ニューホライズンズは、宇宙飛行の歴史において最も遠い天体への接近においてウルティマ・トゥーレに到達する。

8. テクノロジーはどうしても目立つ。それが人口知能であろうと顔認証であろうと、テクノロジーははいたるところに存在するようになる。しかし、シリコンバレーは既にピークを迎えたかもしれず、巨大テクノロジー企業はアメリカと欧州の両方で、規制当局によってより厳しい監視の目を向けられるだろう。

9. ビッグカルチャーが大評判となる。アメリカは、ニューヨークのThe Shed (シェッド アートの為の新巨大スペース) に興奮している。ドイツは、ベルリンで論争の的となる新しいHumboldt Forum(フンボルト・フォーラム)の衝撃を経験する。

10. 画期的統計によって気づくこと。世界人口の半分はオンラインでつながっている。インドのGDPは英国を追い抜き、ナイジェリアの人口は2億人に達し、そして、アメリカではミレニアル世代の数がベビーブーマーを上回り国内で最大世代となる。

11. 今年は…、ビーガン(絶対菜食主義者)、「スロー・ソーシャル」、性別の自己認識、そしてシビル・パートナーシップ(より多くの国々で従来の結婚に迫りつつある)の年となる。また、国連のおかげで、今年は現地語の年でもある。企業は社会のトレンドやそれに伴う政治に、より一層敏感になる必要がある。

12. 2019年の戦いが始まる。戦いはトランプ大統領と民主党が支配するアメリカ議会との対立であり、それは激しさを増すだろう。