ベルリンで開催されたInnoTrans
新世代の車や飛行機については多くの関心が集まりますが、一方列車に関しては、発明されて以降大きく変化したものはないと考えられています。鉄道業界は、将来の都市や貨物のための輸送ソリューションとなる多くの注目に値する新たな技術によって、現在急速に進化しています。
InnoTrans (国際鉄道技術専門見本市、開催期間9月18~21日)は、ベルリンにおいて2年に一度開催される鉄道業界の大きな見本市で、開催中の4日間はエキジビション・センターは来場者でいっぱいになります。また多くの企業がこの機会を利用して見本市開催前後に発表を行います。
ドイツの空気式ブレーキ専門の非公開企業クノールブレムゼ(Knorr Bremse)は、IPOを計画していることを明らかにしました。報道では、バリュエーションは120億ユーロに上るとされており、ドイツで今年行われた上場としては2番目の規模となります。最近の同社は、中国の需要に支えられ非常に好調な状況にあります。
サウジアラビアのリヤド・メトロ(Riyadh Metro)は、アンサルドSTS (Ansaldo STS )、アルストム(Alstom)、およびフェッロヴィーエ・デッロ・スタート・イタリアーナ(Ferrovie Dello Stato Italiane)によるコンソーシアムと運行および保守サービスに関して29億ドルの契約を結んだことを発表しました。
UNIFE (European Rail Supply Industry Association)は、2018 World Rail Market Studyの結果を発表しました。今回第7号となるこのレポートは隔年で発行され、2023年までの見通しも含まれています。本イベントは、Sabrina Soussan氏 (Chair UNIFE および CEO of Siemens Mobility)によるスピーチで始まりました。Soussan氏は、2050年までに都市部において25憶人の人口増加が予想されることから、都市人口増加などの機会について強調しました。また、この業界にとっての課題として、デジタル化、資金調達、および保護貿易主義の3点を挙げました。
UNIFEは、鉄道関連の供給市場は1,630億ユーロ(2015-2017年)から年平均2.7%で成長し1,920億ユーロ(2021-2023年)になると予想し、そうした成長は、インフラ、車両、鉄道制御、およびサービスの4つのセグメントにおいてほぼ同程度であるとしています。地域別では、アフリカと中東(+5.2%)が最も顕著な成長を遂げることを予想しています。
中国のCRRCは、この業界で群を抜いた最大企業であり、CR400の高速列車(時速350km)、および貨物用懸垂式モノレールのAITS(Air-Track Intelligent Transport System)を全面に出した印象的な展示を再び行いました。屋外では、洗練されたカーボン・ファイバー製列車Cetrovoの試作品が多くの関心を集めていました。
シーメンス(Siemens)のスタンドでは、電動自転車(e-bicycle)に関する展示が行われており、「通勤の最初/最後の1マイルは(電動)自転車シェアリングで」を奨励する表示がありました。同社は、リスボン市と自転車1,410台の契約を結んでおり、電動自転車は高齢者に人気があり、また丘が多いことも理由となっています。450台の自転車が納品され、一日あたり平均5,000回の利用があります。これは全てITS(高度道路交通システム)の一環であり、共同一貫輸送のソリューションとなっています。同社は、HaCon (旅行企画)、 eos.uptrade、およびBytemark(決済システム)などの会社を買収しています。ITSの事例として、シーメンスはスイスのSüdostbahnと契約し、共同一貫輸送むけにブルートゥース決済を行っています。
イタリアのインフラ運輸大臣であるDanilo Toninelli氏は、トレニタリア(Trenitali)のブランドRock およびPopの地方列車が2019年5月にサービスを開始することを公表しました。日立レールによるRockに関する包括契約の金額は26億ユーロとなっています。多くの人が、気温30度を超える9月にエアコンのきいた快適なこれら列車を満喫しました。
JORSA (日本鉄道システム輸出組合)は、今回でInnoTrans出展は9回目となり、組合員企業36社のうち13社のメーカーやオペレーターによるブースを取りまとめたパビリオンとして出展しました。ナブテスコと三菱電機の2社は、パビリオン内の両端にそれぞれが最大規模のブースを出しました。来場者が通り過ぎる際には東京メトロのマスコット・キャラクター、メトポンが挨拶をし、お寿司とお酒がふるまわれた水曜日午後のジャパン・デー・レセプションは特に多くの人気を集めました。