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M&Aにおけるトレンド

M&Aにおけるトレンド

2018年、世界のM&Aは18%増加し3.9兆ドルに達しました。これは2015年に最高を記録した4.2兆ドルに僅かに届かない金額です。この5年間(2014~2018年)は、3.2~4.2兆ドルの水準となっており、その前の5年間(2009~2013年)の2.0~2.5兆ドルより規模が拡大しています。2018年に最も活発だったセクターは、エネルギー、インダストリアル、ヘルスケア、そして金融で、それらを全て合わせると全体のほぼ半分を占めました。

世界で最大規模となったM&Aは、日本の製薬会社、武田薬品によるShire (本社アイルランド)買収で、金額は770億ドルに上りました。本取引で注目すべき点は、日本企業としては珍しく、一部が株式/ADS(米国預託証券)交換、残りはキャッシュで行われたことです。

2018年、日本企業によるM&Aは過去最高水準となり、クロスボーダー案件についてはM&A総額に占める割合が過去10年の間に40%から80%超になるなど堅調に増加しました。

英国は、日本企業が欧州で行うM&Aの対象国として常にトップとなっており、2018年の日本企業による欧州におけるアウトバウンド買収件数のうち26%を占めました。英国の次に、ドイツとフランスが続きました。

武田薬品による買収は、2018年に日本企業が英国で行った唯一のTOB によるM&Aとなりました。前年には2件ありましたが、そのうち1件は、建設コンサルティング・セクターの建設技術研究所(CTI)によるWaterman買収で、本件では弊社がCTIのアドバイザーを務めました。

英国では2018年に42件のTOBが発表され、そのうち3件は敵対的なものでした。中でも注目を集めた敵対的TOBは、Melroseによるエンジニアリング・コングロマリットGKNの買収80億ポンドでした。

日本のM&Aにおいてアクティビズムの存在感が高まっています。Elliott Managementは、売却前の日立国際電気の株式を取得し、また日立製作所によるAnsaldo STS買収において、Ansaldo STS株式を取得しました。最近の日本における動きの中で、プライベートエクイティ全般がその重要性を増しています。Bainは、東芝のメモリチップ事業を177億ドルで、広告代理店のアサツーディ・ケイを12億ドルで買収しました。KKRは日産自動車の子会社カルソニックカンセイを43億ドルで買収しています。

そこで、最近こうした記録に残る出来事が起こっている日本のM&Aにおいて、何が大きなテーマとなるでしょうか?

1.  株式の利用買収通貨あるいは報酬として、日本企業は、従来の規制のハードルを克服しクロスボーダーの買収において自社株式を使う旨味を発見しつつある。

2. IFRS – のれんに関する日本の会計基準は、経営陣が大型買収を行うにあたっての阻害要因となっている。しかし、IFRS(国際会計基準)が より広く適用されるようになると、将来的に買収の対象範囲が広がるだろう。

3. ガバナンス東芝や日産自動車など注目を集めたコーポレート・ガバナンスに関する問題は、ガバナンスのベストプラクティスの必要性を際立たせ、その結果、短期的に多くの企業が一層のリスク回避に動いている。

4. アクティビズム アクティビストなどのあらゆるプライベート・エクイティ・ファンドが、株主のためのバリュー開放において役割を果たし、キャッシュ使途や不採算アセットの見通しについてより意識が高まるようになる。

5. 統合 クロスボーダー案件がM&A全体において非常に高い割合を占めているが、クロスボーダーM&Aに関する適切な経験やスキルを備えた経営陣が少ないことから、買収後の統合に対する関心がより高くなる。

 

世界のM&A金額vs株価指数の推移

Thomson Reuters, OMSCI