統合と再生セミナー
2018年9月13日、弊社はジャパン・ハウス・ロンドンと共同で「統合と再生」をテーマとしたセミナーを主催しました。セミナーはジャパン・ハウスのグランドオープンの日に開催され、当日の朝にはウイリアム王子と麻生副総理も出席した祝賀式典が行われました。
ギディオン・フランクリンがジャパン・ハウス・ロンドンに感謝の言葉を述べ、セミナーのテーマを説明してセミナーは始まりました。日本企業による投資やM&Aが行われた結果、誰もがその日常において日本と接することになりました。そこで難しいのは統合することです。再生というテーマは、ジャパン・ハウスで行われている燕三条の展示会と関連付けられており、展示会ではこの地域がいかに再生を果たしているかを伝えています。(弊社記事「燕三条訪問」をご覧ください)
セミナーのスピーカーは、英国および欧州において積極的な投資を成功させているアサヒヨーロッパ、日立レール、そして日産自動車の3社から招かれ、各スピーカーは、統合と再生というテーマに沿って自社の経験について話しました。アンナ・ディングリーがセッションのモデレーターを務め、日本企業や欧州企業、法律事務所や財務アドバイザー、英国及び日本政府からの代表者、そして学界などから100名を超える出席者が参加して活発なディスカッションが行なわれました。
アサヒグループは、ペローニ、グロルシュおよびミーンタイムなど欧州で多くのブランドを買収しています。そうした買収の結果、同社は世界第三位のビール会社となり、今や海外における従業員数が日本国内を上回っています。アサヒヨーロッパの経営は現地スタッフが行っており、また欧州においてアサヒスーパードライのブランドを再発売することによって、会社は現在活性化の道を進んでいます。
日立レールによるプレゼンテーションは、二つの主要テーマを中心に生産における統合に焦点を当てて行われました。テーマの一つは、日本国内の鉄道売上高に対し約2.5倍を誇る英国の鉄道事業での堅調なオーガニック成長であり、もう一つは、イタリアのアンサルドベルダ買収で、同社は買収時に20億ポンドの累積損失(2000~2015年)を抱えていたベルダを買収以降に黒字転換しました。
日産自動車は、同社の社員貢献にスポットを当て、同社が最近導入した従業員持株奨励制度を例に説明しました。それは非常に革新的で日本企業としては初めてのタイプとなるものです。こうした制度の受給率平均は8%となっていますが、日産自動車の場合は25%にあたる2,100名の従業員が対象となっています。また、ビールを名付けることで人気の競争で、同社が英国進出30周年をどのように祝ったかについても説明されました。
在英日本大使館の岡田特命全権公使は、日本企業による投資先としての英国の重要性について説明し、日本はEU以外では2番目の投資規模を有することを指摘しました。英国では1,000を超える企業が広範囲に広がって生産、サービス、および研究開発を展開しています。
ジャパン・ハウス・ロンドンのマイケル・フーリハン館長は、ロンドンがロサンゼルスとサンパウロに続いて今年オープンした3番目のジャパン・ハウスであることを説明しました。6月の開館以降、多くのビジターが来館しています。またロンドンが明確なプロダクトとレガシーを提供するにあたり、何がふさわしいについて細心の注意をもってリサーチしたことが説明されました。その結果、関心が高い主な分野は、食物、芸術、デザイン、歴史、そしてテクノロジーであることがわかりました。
トレンチャード子爵は再生についてのセッションを紹介し、またユーフィーミア・フランクリンがデザインしセミナーで使われたシンボルについても説明しました。日本の結び目「水引」は、一体感を表すシンボルです。結び目によって、統合と再生とうい二本のより糸が一つになり、また日本と英国が一緒になることで生まれる強さを表しています。この結び目は英国でも何世紀にもわたり使われており、ウエイクノットとして知られファミリーの紋章として使われています。
出席者は、その後行われたレセプションの間に燕三条の展示会を各自楽しむことができました。サイモン・ライト企画局長が展示会のアイデアのベースとなったテーマについて解説しました。シンボルはかまどのピンク色の炎であり、グスタフ・マーラーからの引用「伝統とは廃墟を崇拝することではなく、炎を伝えることである」がビジターを迎え入れます。エントランスにある炎のモチーフによって、ビジターは神道のものつくりの神とされる天香山命を祭神とする現地の弥彦神社を想像することができます。