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日本M&Aセンター・カンファレンス

日本M&Aセンターは、多大な成功を収めている注目すべき企業です。今年1月、代表取締役会長の分林保弘氏および代表取締役社長の三宅卓氏は、カンファレンスのために経営陣や50名のトップコンサルタントと共にロンドンを訪問しました。このカンファレンスには弊社も参加し、以下に、弊社が考える同社の一番の特徴とカンファレンスのテーマを幾つかご紹介します。

特徴的な企業

創立後わずか29年の日本M&Aセンターは、その詳細なIR資料で説明されている通り、時価総額6,000億円超を達成し、予想を上回る利益を継続的に記録しています。

2019年に同社がM&Aに関してアドバイザーを務めた会社は908社に上ります。カンファレンスのオープニング・プレゼンテーションでギディオン・フランクリンは、M&Aシェアに日本M&Aセンターが含まれていた場合の結果を想定すると、同社が世界No1となっていたと分析しました。日本M&Aセンターのデータは、投資銀行がマーケットシェアを示すために多く使用するリフィニティブの調査に含まれていません。リフィニティブによると2019年に日本の案件数シェアにおいてトップとなったのは、155件でアドバイザーとなった三井住友フィナンシャルグループ でした。日本M&Aセンターは、その6倍の件数を手掛けており、今後更に差を広げることが予想されます。

同社のビジネスの中核は、後継者不在の中小企業へのサポートです。その中で日本M&Aセンターは、企業の継続性確保におけるサポートや地方経済活性化への貢献において重要な役割を果たしています。同社はM&AやPMIに関するセミナーを日本全国で頻繁に開催し、M&Aプロセスについての理解を深めています。

また、社内の人材育成に関して、金融サービス業界としては全く異例といえるほど格別な注力を注いでいます。ロンドンのカンファレンスはその取り組みの一例として、会社のマネジャーたちがより国際的な視点を得る機会を提供するものでした。

後継者不在企業は23兆円超市場

日本の中小企業経営者の平均年齢は年々上がっており、年齢分布のピークは69歳と23年前の47歳から上昇しています。親族内に後継者のいる企業の割合は、35~40年前は85.5%だったのに対し、過去5年を見ると26.7%まで減少し社外の第三者による承継が39%を占めています。一方、労働人口の減少に伴って、日本の企業数は今後10年で83万社の減少が予測されています。こうした分析に基づくと、事業承継M&Aには、23兆円(2,090億ドル)の市場ポテンシャルがあります。

日本の多くの金融機関が人員不足と法律による労働時間の制約を理由に小型案件への関与を減らしている中で、日本M&Aセンターはこの市場セグメントをリードしています。日本M&Aセンターは、年商1億円未満の超小規模事業者のために、オンライン・マッチングサイトBatonz  (バトンズ )を展開し、300件以上を成約させています。

Tokyo Pro Market

2019年の日本M&Aセンターによる新たな取り組みは、Tokyo Pro MarketのJ-Adviserとして認証されたことです。Tokyo Pro Marketは、ロンドン証券取引所のAIM市場をモデルに柔軟な上場制度を提供する市場として東京証券取引所が設立した比較的新しい市場です。同社は、今後3年間で100社からTokyo Pro Market上場のアドバイザー指名を受けることを目標としています。そうすることで、より広範な基盤を必要とする東京証券取引所による成長の後押しにもなります。

カンファレンスでアンナ・ディングリーは、AIMと東京証券取引所によるジョイントベンチャー設立における自身の経験について話しました。ディングリーは、AIMが1995年の創設以来3,600社を上場させ現時点で上場企業の17%が外国企業であるなど、これほどの成功を収めている理由の幾つかを指摘しました。また、英国とビジネスに関する2つのセッションからなる「パブクイズ」を取り入れて、カンファレンス出席者が参加する形のプレゼンテーションを行いました。

プライベートエクイティの役割

ギディオン・フランクリンは、日本において日本M&Aセンターが担っている役割は、欧州や米国ではプライベートエクイティ・ファンド業界が担っている場合が多いことを説明しました。日本M&Aセンターは、日本政策投資銀行との共同出資による二つのファンドを有します。

バーミンガムに拠点を置くプライベートエクイティ・ファンドのIntrinsic Equityの共同設立者であるジェームズ・グレンフェル氏は、「中小企業投資とアドバイザーを務める顧客のための企業価値向上」をテーマにプレゼンテーションを行いました。Intrinsic Equityは、Clairfield Internationalのネットワークの一部であるOrbis Partnersの投資ビークルです。グレンフェル氏は、その運営方法について説明し、4つのケーススタディを紹介しました。最初のケーススタディは、英国のペンキブラシ・メーカー大手のHarris社についてでした。Intrinsicは、会社の再建を支援し、その後、欧州大手ノルウェーのOrkla House Careに売却しました。二つ目は、スポーツ、鉄道、その他インフラ関連市場向け支柱および照明ソリューションの設計・製造の大手企業であるAbacas Lightingでした。同社は赤字を続けていましたが、今では売上高21百万ポンド、EBITDA3百万ポンドを計上し、売却プロセスが今後18か月以内に計画されています。三つ目は、リチウムイオン電池専門企業で破産申請を行ったAccutronicsで、同社は会社再建後にニューヨーク・ナスダック上場のポータブル電池メーカーUltralife Corporationに売却されました。最後のケーススタディは、英国の自閉症を専門とするケアホーム会社で、会社再建後に全国チェーンに売却されました。

2020 の中堅企業によるM&A見通し

Clairfield International で会長を務めるアレグザンダー・クレム氏は、中堅企業のM&A見通しと環境を中心に概観を説明しました。Clairfield International は、世界22か国を拠点に300名超のチームメンバーを擁し、年間130件以上の案件をクローズして欧州の中堅企業向け助言会社の上位10社に入っています。クレム氏は最初に、マクロ経済の背景には、高水準の米国株式市場、ドイツにおける工場受注の減少、中国経済の停滞、マイナス利回り債券、そして米国企業による高水準レバレッジなどの懸念要因があると述べました。

M&Aはスローダウンしています。過去3年間の欧州M&A金額の約半分は英国(30%)とドイツ・オーストリア・スイス(19%)が占め、プライベートエクイティやアクティビスト株主がますます重要な役割を果たすようになりました。「これはM&Aアドバイザーにとって何を意味するのか?」クレム氏は、ケーススタディを用いて中堅企業セグメントにおける統合について、そして明確な「付加価値提案」の必要性と「差別化分野」のアイデアについて分析しました。結論は、しかるべき注力分野において的確に専門化を行い国際的パートナーを有する会社であれば、見通しは「それほど悪くはない」というものでした。

 2050年の世界

最後のプレゼンテーションでは、エコノミスト誌のExecutive and Diplomatic Editorであるダニエル・フランクリン氏が、自身が編集した2冊の本“Megachange: The World in 2050”、および弊社による 駐日英国大使館でのセミナーのテーマとなった“Megatech: Technology in 2050”の中から2050年の世界について話しました。彼は、人口統計 (「ピラミッド型から柱型へ」)、経済 (アジアの再興)、政治 (民主主義と政治的分断)、文化 (気候変動を含め) 、そしてテクノロジー (将来変化予測)の5つのテーマに焦点を当てました。その後は質疑応答が活発に行われました。好きなSFについて尋ねられたフランクリン氏は、現在開発の最前線にある人間ロボットによって、テクノロジーがSFを模倣できる実例となっている映画スターウォーズが好きであると答えました。

 

以下スライドは、日本M&Aセンターの2020年3月期第3四半期決算説明資料から転載

以下ギャラリーでのカンファレンス写真は、日本M&Aセンターのご厚意で許可を得て掲載